地球温暖化・気候変動
地球温暖化とは
地球が太陽から得ているエネルギーの半分以上は地表より大気中に放出されます。大気中の温室効果ガス(水蒸気、二酸化炭素、一酸化二窒素、メタン、フロン類)は、地球が放射しているエネルギーを吸収し、再度地球にエネルギーを与えています。これを、温室効果と呼びます。もし温室効果がなかったとしたら、地球の表面温度は−19℃程度になってしまいますが、温室効果のおかげで約14℃に保たれています。
しかし、近年、二酸化炭素など人為起源の温室効果ガスが大量に排出され、大気中の温室効果ガスが増加したため、より多くの熱が地球に戻ってくるようになりました。
その結果、産業革命が始まった1850年ころから、地球の気温は急激に上昇してきました。
世界平均気温の変化(1-2020)
出典:IPCC (2021)
気候は自然の状態でも変動します(青い線)が、それを大きく超えた温度上昇が起こっています(黒い線)。このように、地球温暖化とは、自然の変動に加えて、地球の温度が上昇している現象のことを指します。
世界平均気温の変化(1850-2020)
出典:IPCC (2021)
気候変動とは
さまざまな気候の変化も世界各地で観測されています。
熱波などの暑さの異常気象は1950年代から頻度と激しさを増しています。
また、世界各地で豪雨の増加が観測されています。
出典:IPCC (2021)をもとに作成
温室効果ガスの増加によって引き起こされたさまざまな気候の変化を、気候変動と呼びます。一般的には、地球温暖化と気候変動はほぼ同じ意味で使われます。地球温暖化や気候変動は、熱中症や感染症の広がりによる健康への影響、食生活への影響、居住地への影響など、人間生活のさまざまな側面に影響を及ぼします。
将来の気温の変化
地球温暖化の進行を止めるため、世界各国は、2015年にパリ協定に合意し、2100年までに産業革命以降の気温度上昇を1.5℃未満に抑える努力をするという目標をたてました。
2020年までに地球の気温は1.1℃上昇しました。つまり、目標の到達まで、あとわずか0.4℃です。
気候変動:将来の変化
(産業革命前との比較)
1850-1900年を基準とした2100年までの世界平均気温の変化予測
出典:IPCC (2023)をもとに作成
最近の報告書(UNEP, 2022)では、世界各国が現在の対策を続けると、2100年には平均2.8℃の気温上昇が起こると予測されています。パリ協定のもとに各国が宣言した目標を達成したとしても2.4℃~2.6℃の上昇が見込まれています。1.5℃以下に抑えるためには、現在の目標よりも大幅な削減を実現する必要があることが分かってきました。
(文:大西有子)
参考文献
The intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC), 2021, Climate Change 2021: The Physical Science Basis.
https://www.ipcc.ch/report/ar6/wg1/
IPCC, 2023, Summary for Policymakers, Climate Change 2023: Synthesis Report.
https://www.ipcc.ch/report/ar6/syr/downloads/report/IPCC_AR6_SYR_SPM.pdf
The United Nations Environment Programme (UNEP) , 2022, Annual Report 2022.
https://www.unep.org/resources/annual-report-2022?gclid=EAIaIQobChMI-qSOn8u1gQMV2tUWBR2fiQXcEAAYASAAEgIp3_D_BwE