ABOUT「知の共創プロジェクト」について

「環境トモシル」は、総合地球環境学研究所(地球研)知の共創プロジェクトにより、トランスディシプリナリティと共創に関する情報共有のためのプラットフォームとして構築されました。

以下の内容は、知の共創プロジェクト(実施期間:2020年4月~2023年3月)の活動の全体像を書いたものです。


知の共創プロジェクトは、専門分野や立場を超えた「共創」について、実践から得られた知見を整理、共有すること目的とした、総合地球環境学研究所(地球研)のプロジェクトです。

地球研は、地域の住民や行政担当者等と協働して環境問題の解決に取り組む、共創(またはトランスディシプリナリー)手法によるプロジェクトを数多く実施しています。環境問題には、非常に多くの人たちがさまざまな立場で関わっています。害を被る人もいれば、問題を起こす要因に関わりながらも、日々の生活で気づくことのない人もいます。このように利害が複雑に絡み合っている問題に対処するためには、問題に関与する人たちが共に話し合って取り組む、共創による課題解決がとても重要です。

しかし一方で、共創は多くの困難を伴います。学術界では、各々の学術分野の中で専門知識を磨くことが重視されています。そのため、多くの研究者は異なる分野の研究者や研究者以外の人たちとの協働に慣れていません。社会においても、異なる業種や地域の人たちと一緒に活動する機会のある人は、それほど多くないでしょう。多くのプロジェクト参加者は、初めての実践に試行錯誤をしながら共創に取り組んでいるのが実態です。

私が初めて共創プロジェクトに関わった際は、同じように試行錯誤を繰り返していました。その中で一番役に立ったのは、学術書や論文から得られた情報ではなく、同僚からの経験談でした。共創のあり方は地域や問題によって多種多様であり、どの実践にも適用できるマニュアルは存在しないからです。しかし、このような経験から得られた知見は、経験をした本人と、本人から経験を聞いたごく少数の人に伝わるだけです。この「経験者の学び」をもっと広く伝えたい。そのような思いから、知の共創プロジェクトは始まりました。

このプロジェクトでは、これまで共創に関わってきた人たちの経験を、文献や体験談を通して記述・分析しつつ、これから共創を実践しようとする際に取り入れやすいように知見を体系化し、「実践のためのフレームワーク」として提案します。このプロジェクトを通して、共創の取り組みがより多くの地域で、より効果的に実施されるようになり、持続可能な未来の社会の実現に一歩でも近づくことを期待しています。

このプロジェクトは、3つのテーマに沿って活動しています。

1.「共創」の事例を広く分析
TD Landscape
世界各地から共創の事例を収集し、データベース化します。各地の取り組みと成果を俯瞰的に分析することで、TD(トランスディシプリナリー)研究の再定義と類型化を試みます。
2.「共創」からの学びを調査
Lessons learnt
世共創プロジェクトに参画した方の経験談を体系化し、実践で使える『心得集』を作成します。また、共創によって地域社会や市民感覚がどう変化したかを調査し、共創が社会に与える影響を明らかにします。
3.「共創」に関する教育と連携
Capacity/network building
学生と共創しながら、オンラインの教育プログラムを開発します。また、ウェブサイト上で共創についての基礎知識や事例などの知見を共有し、持続可能な社会に向けた共創の取り組みを推進します。

プロジェクト構成図

パンフレット

 

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メンバー

大西 有子

プロジェクト・リーダー
地球研 助教

オックスフォード大学地理環境学部博士課程修了(Ph.D.)。国際連合食糧農業機関(FAO)、国立環境研究所等の勤務を経て、2014年より現職。専門は、地球温暖化影響評価、生物多様性保全。
TDとの出会いは地球研。TDを熱く語る教授陣、実践に苦心する同僚たちと交流を深めるうちに、もっとTDが知りたくなり、プロジェクトを立ち上げるに至りました。

Bonjun Koo

地球研 研究員

韓国の政府機関・国際機関などの勤務を経て、京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻の博士課程修了後、現職。専門分野は災害リスクマネジメント・参加型アプローチによる環境コミュニケーション。

Ria Lambino

地球研 特任准教授

Rob Kuipers

岡本 高子

菊池 直樹

金沢大学 准教授

西村 武司

山陽学園大学 准教授

王 智宏

Agnes dorotea rampisela

ハサヌディン大学 教授

Alexandros Gasparatos

東京大学 准教授